2012.07.08

▽現代中国の政治――「開発独裁」とそのゆくえ

唐亮『現代中国の政治――「開発独裁」とそのゆくえ』(岩波新書)

1980年代に始まった中国の改革開放路線――。

30年以上にわたり、年平均9%の成長を続けて、2010年には、GDPで世界二位の経済大国に躍り出た。

政治的には、共産党の一党独裁を維持しつつ、経済成長を続ける中国を、著者は「開発独裁」の一形態と見なしている。本書によると、「開発独裁路線」とは、

《市場志向の経済政策と権威主義体制の結合を特徴とする。具体的には、政府は経済成長を最優先課題として掲げると同時に、求心力の制限を正当化しようとする。》(p.ii)

「開発独裁路線」は、欧米型の近代化路線とも、社会主義型の近代化路線とも異なり、民主化以前の台湾や韓国で採られた路線という。

そして、「開発独裁路線」は、経済発展最優先の段階、社会政策強化の段階、民主化推進の段階という三つのステップを踏むという。現代の中国は、第二段階の社会政策強化の段階を迎えつつある、というのが著者の分析である。

[目次]
はじめに――中国の政治変容をどう見るか

第1章  一党支配と開発独裁路線
  1 一党支配体制と強い国家
  2 改革開放路線の推進
  3 中国の「開発独裁」の特徴

第2章 国家制度の仕組みと変容
  1 疑似民意機関としての人民代表大会
  2 開発国家の行政制度
  3 「法治」途上の司法制度   

第3章 開発政治の展開   
  1 市場経済化と格差の拡大
  2 大衆の経済的な維権活動
  3 調和社会へ向かう社会政策の推進        

第4章 上からの政治改革         
  1 上からの政治改革戦略
  2 「中国式民主主義」の論理と内実
  3 緩やかな自由化              

第5章 下からの民主化要求       
  1 民主化の担い手としての中間層
  2 市民社会の活動
  3 低調期の民主化戦略

おわりに――民主化の展望は開かれるか


|

書評2012年」カテゴリの記事