2012.09.16

▽3月11日の記憶――堀井憲一郎『いつだって大変な時代』より

堀井憲一郎『いつだって大変な時代』(講談社現代新書)

《3月11日の夜、東京に流れていた空気は、いまから想像できるものとはずいぶん違っていた。
 「想像できるもの」よりもずっとのんびりしていた、と言えるだろう。……
 変が来たのは、翌12日原子力発電所が爆発してからである。他人事ではなくなった。私の記憶によると、それを契機としていきなり災害が身近になり、ふつうの生活を送ろうとしていた自分たちを恥じて、東北の人に遠慮して、東京の人は自分たちの被害のことをまったく何も言わなくなった。》(pp.209-210)

本書は、コラムニストの堀井憲一郎が2010年9月より、メールマガジンに連載していたコラムをまとめたものである。この連載は、2011年月まで続いたため、第7章と第8章は、ほぼリアルタイムで東日本大震災の記憶が記されている。

上記の引用部は、新書にまとめられる際に書き加えられた部分だが、はっきりと3月11日の東京の記憶を再現した文を見るのは、これが初めてである。


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