2012.09.01

▽一次産業×デザイン=風景――『ニッポンの風景をつくりなおせ』

梅原真『ニッポンの風景をつくりなおせ―一次産業×デザイン=風景』(羽鳥書店)

『ニッポンの風景をつくりなおせ』というタイトルから、大震災や原発事故に被災した日本の再興といった連想をしてしまいますが、本書の刊行は2010年のため、もちろんそうした視点はありません。

本書は、デザイナーの梅原真が、次のような考え方にもとづいて活動してきた、その記録である。

一次産業にDsigneをかけあわせる
▼新しい価値が生まれる
▼新しい価値は経済となる
▼経済がうまくいけばその一次産業は生きのびる
▼そして風景が残る。

梅原がこう考えるようになったきっかけは、1987年に土佐の漁師を助けるために、産地直送の「土佐 一本釣り 藁焼きたたき」のデザインを行ったことによる。廃業寸前だった漁師は、8年で年商20億円にまで急成長する。

本書には、梅原が手がけた「一次産業×デザイン」が数多く収録されている。

興味深いのは、105ページに掲載されているラフスケッチ。柏崎市の依頼でつくったものの、結局ボツになったポスターには、「げんぱつにげんこつ」と書かれていた――。

やはり、『ニッポンの風景をつくりなおせ』のアフター3.11版が求められているのだと思います。


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