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2012年10月

2012.10.28

▽官邸の100時間――検証 福島原発事故

木村英昭『検証 福島原発事故 官邸の一〇〇時間』(岩波書店)

著者は、東日本大震災が発生した当時、朝日新聞の地域報道部に所属していた。その日、たまたま東電の記者会見への出席を命じられたところから、福島原発事故の取材に関わることになった。

福島原発事故の官邸の対応を検証したドキュメントとしては、同じ朝日新聞記者による

▽大鹿靖明『メルトダウン』――福島第一原発事故ドキュメントの決定版
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2012/02/post-b55c.html

があるが、本書では、さまざまな検証委員会による「事故報告書」の結論をも踏まえた上で、改めて検証を行っている。

特に、紙幅を割いているのが、東電は福島原発から撤退しようとしたかどうか、という点。

《この問題は、全員撤退問題ではない。原発放棄事件だ。
東電は原発のコントロールを諦め、放棄しようとしていた――。これが取材を通じて浮かび上がる真実だ。》(p.254)

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2012.10.21

▽『小沢一郎vs.特捜検察』――20年戦争の総ざらい

村山治『小沢一郎vs.特捜検察、20年戦争』(朝日新聞出版)

最近の陸山会については、第一章で触れられているだけで、小沢一郎と特捜検察の20年戦争をおさらいしたような内容。

帯の「全編特ダネ」は、ちと誇大広告か。

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▽『これから20年、三極化する衰退日本人』

中野雅至『これから20年、三極化する衰退日本人~依存する人・搾取される人・脱出する人~』(扶桑社新書)

《政府の大小を巡る具体的な対立軸は何だろうか。それは二つだ。一つ目は「税・社会保障を中心とした受益と負担の関係」であり、もう一つは「経済面での自由競争か政府介入か」というものである。
 1990年代後半以降の日本社会は、この二つの対立軸を巡って、大きな政府か小さな政府かを決められない状態が続いている。》(p.98)

失われた20年は、今後の20年も続くのではないか? という前提の下で、日本社会の進路を占っている。

やや悲観的な未来予測だが、安易な楽観論よりは、はるかに有益だろう。

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2012.10.20

▽『戦後史の正体』――通説に挑戦した意欲作

孫崎享『戦後史の正体』(「戦後再発見」双書)

「日本の戦後史は、アメリカの影響下にあった」という視点の下に、これまでの通説に挑戦した意欲作。

著者の見方に賛同できるかどうかは置いておくが、さまざまな政治家の証言が紹介されており、日米関係の通史としては、興味深く読める。

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▽放射能雲の下で何が起きたか――『原発難民』

烏賀陽弘道『原発難民 放射能雲の下で何が起きたのか』(PHP新書)

《政府や全国紙、キーテレビ局といった東京にいるマスメディア関係者、学者たちは、被曝した住民の心理を読み違えている。サイエンスとしていくら正しいことをいっても、それは親たちの行動基準にはならないのだ。》(p.178)

福島で起きた原発事故は、科学者やマスコミに対して大きな不信を残した。

原発事故が発生してからの住民の避難状況はどのようなものだったのか? そして避難後の生活は? なぜ政府は住民の避難をすみやかに行うことができなかったのか? などについて、現地を何度も訪問して描き出した秀逸なルポ。

[目次]
プロローグ すべては放射能雲の予測ミスから始まった
第1章 福島第一原発が見える町
第2章 絆を引き裂かれた避難者たち
第3章 そのとき南相馬市・飯舘村では
第4章 被曝者も避難者も出さない方法は、確実にあった
おわりに

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2012.10.09

▽『約束の日』――第一次安倍政権を読む五冊

小川榮太郎『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎)

自民党総裁に返り咲き、次期首相の座をほぼ手中に収めたと思われる安倍晋三。

音楽ライターである小川榮太郎が、安倍政権に襲いかかったマスコミ報道の圧力を、実証的なデータを基に分析する。

本書と補完関係にあるのが、上杉隆『官邸崩壊』(幻冬舎文庫)。

安倍政権における官邸内の人間模様を緻密に描いた労作で、政権運営の未熟さが暴かれている。

以下の三冊は、公務員制度改革をめぐる官僚との暗闘を描いたもの。あわせて読まれたい。

▽『官僚との死闘七〇〇日』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2009/10/post-c558.html
▽官僚のレトリック
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/02/post-1f9e.html
▽『日本中枢の崩壊』
http://thelightoflondon.txt-nifty.com/book/2011/06/post-0342.html

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