2012.12.22

▽『検証 東電テレビ会議』

朝日新聞社『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版)

《その場にいる社員のポケットマネーを集めて、原子炉制御に必要なバッテリーの買い出しに量販店に走る――。そんなことはもちろん、マニュアルには書かれていない。「臨機の工夫と判断で事態を打開するための努力がなされた例」の一つといえるかもしれない。が、裏返して考えれば、それは、組織としての東京電力が震災発生3日目の3月13日朝までそんな簡単なことさえ実行しなかったという事実をも浮かび上がらせている。》(p.109)

本書は、東電が部分的に公開したビデオ会議の内容を、朝日新聞の取材チームが検証したものである。

原発事故の初期段階では、原子炉内に水を供給するために必要な消防車を調達することができずに混乱している様子や、機器類を動かすために必要なバッテリーを調達するために試行錯誤されている様子が描き出されている。

事故当時に報道されていなかった舞台裏では、喜劇のようなドタバタが繰り広げていたことがよくわかる。

公開されたビデオは、「プライバシー保護」を名目として、映像にぼかしや、音声にピー音が、加えられている。東電の原発事故への対処の実態を明らかにするためには、ぼかしやピー音のない、すべてのビデオの公開が待たれるのは言うまでもない。


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