2013.09.11

▽『関東連合』――六本木アウトローの正体

久田将義『関東連合:六本木アウトローの正体』(ちくま新書)

名前こそ広く知られるようになったものの、謎のベールに包まれた『関東連合』について、「日刊ナックルズ」の編集長でもある著者が、可能な限りその実態に迫ったものである。

その詳細は、本書に譲るとして、「関東連合」のおおざっぱな歴史を記しておこう。
そもそも「関東連合」は、1973年に暴走族の連合体として結成された。しかし、この1970~80年代の「関東連合」は、現在の「関東連合」とは、かならずしも同じ団体ではないという。

その後、道路交通法の改正などにより暴走族は勢いを失い、これとは別の不良少年の系譜である「チーマー」が、渋谷などを席巻するようになる。しかし、このチーマーと、関東連合系の暴走族との間で、抗争が勃発する。1991年に発生したいわゆる「三茶事件」と呼ばれる抗争の結果、チーマーは渋谷から一掃され、暴走族が優位になる。

そして、1990年代に入って、初期の関東連合に参加していた「上町小次郎」という暴走族が「関東連合上町小次郎」と名乗ることによって、「関東連合」が復活する。これが、現在の「関東連合」の源流であり、六本木進出の契機となったようだ。

そして、様々な事件を通じて「関東連合」の名が一般にも広まるようになる。まず、2000年に発生した東洋ボール事件、2008年の西新宿撲殺事件、2009年の男性俳優の薬物に絡んだ事件、2010年の歌舞伎役者殴打事件と横綱による暴行事件、2012年の六本木フラワー事件などである。

本書で記されていることが、「関東連合」のすべての真相では無いにしても、おおよその姿を描くことには成功しているように思われる。

[目次]
はじめに

序 章 闇社会の入口へ
 どうしても断れない先輩
 地下格闘技の闇
 殺す気で殴る
 闇社会の扉
 アウトローのヒエラルキー

第一章 関東連合の歴史
 資料はほとんどない
 関東連合、過去と現在
 70年代、関東連合の誕生
 関東連合は誰が作ったのか
 巨大暴走族の序列と人間関係
 現在の暴走族スタイルを確立したあるチーム
 走り集団から喧嘩集団へ
 大井ふ頭事件
 暴走族特有の意識

第二章 チーマーの出現
 不良少年とバブル
 不良少年と漫画
 ギミックの不良観
 不良デビュー
 チーマーはなぜ誕生したのか
 アメカジから渋カジへ
 チーマーの象徴としての明大中野高校
 チーマーのディスコグラフィ
 チーマー・タイプの方程式

第三章 武闘化するチーマー――三茶抗争と関東連合の台頭
 ものを言うのは出身校
 武闘派チーム
 チーマーのファッションリーダー
 とりあえず楽しくメチャクチャやろうぜ
 三茶抗争の勃発
 三茶事件、当事者の証言
 和解へ向けた動き
 チーマーがいなくなった後のチーマーたち

第四章 関東連合の復活
 覆された暴走族イメージ
 世田谷の暴走族「小次郎」
 抗争の時代
 喧嘩で名を売る
 新生・関東連合の台頭
 豊富な資金力の一端
 団塊ジュニア世代
 ヤクザになるのが得ではない時代

第五章 六本木進出
 芸能マスコミ報道の幻想
 明るい芸能界の暗い舞台裏
 六本木進出

第六章 六本木フラワー事件
 動機はデモンストレーションか
 人違い説とトラブル説
 「関東連合の実態は分かってきた」
 犯行は杉並のグループ
 フラワー事件の影響

第七章 人脈
 グレーゾーンの定義
 クラブという存在
 クラブから広がる人間関係
 芸能界人脈
 関東連合の人脈をどう見るか
 ネットによる誇張
 幻想の巨大化

第八章 裏社会の地殻変動
 オレオレ詐欺
 唐突な幹部の出頭
 ヤクザから見た関東連合の現在
 都市型ギャング
 変わる繁華街
 大阪の不良集団「強者」
 追い込まれてきたか

あとがき


|

書評」カテゴリの記事