2013.10.17

▽『原発事故と科学的方法』

牧野淳一郎『原発事故と科学的方法』(岩波科学ライブラリー)

《当時の私の気分を振り返ってみると,現実に起こるはずのない悪夢の中にいるような気がしていました.この悪夢は少なくとも三重のものでした.最初は,起こってほしくなかった原発の重大事故,第二は,東京電力と政府の発表,マスコミでの報道や解説が事態をまったく過小評価するものであったこと,第三は,知人の物理系などの研究者を含めて,ネット上での論調のほとんどがこの過小評価を支持し,客観的な現実認識をこばむもののように見えたことです.》(p.9)

本書は、天文学を専門とする著者が、福島原発事故当時に、twitterやウェブサイトに書いたものを再構成したものである。

原子力発電や過去に起きた事故に関する基礎的な知識と、当時得られたデータから、福島原発事故の推移や放射性物質拡散の予想など行った記録であり、結果としてみれば著者の推定はおおむね当たっていたことがわかる。

「科学的方法」とは何かということを改めて教えてくれる一冊である。

[目次]
序章 3.11から最初の一週間―三重の悪夢のなかで
第1章 原発事故の規模―自分で考えるための科学的方法
第2章 事故のシミュレーションはなされていた―まかり通った大嘘
第3章 専門家も政府も、みんな間違えた?―あるいは知っていて黙っていた?
第4章 原子力発電という巨大リスク
第5章 福島原発事故の健康影響をどう考え、それにどう対応するか
結びに


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