2014.08.04

▽楽観主義の記録――『会社が消えた日』

大西康之『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(日経BP社)

2011年パナソニックに買収され、事実上消滅した三洋電機。約十万人いた社員のうち、パナソニックに残れたのは、一割にも満たない九千人余という。

本書は、三洋電機の再建努力とその失敗を軸に、元三洋電機の社員のその後を追ったものである。

一つの会社に長く勤めたことのあるサラリーマンならば、同情できる部分も少なくはないだろうが、しかし、端から見ていると、あまりにも楽観的過ぎたのではないか? と思わざるを得ない。

まず、2005年にTVキャスターの野中ともよを社長に据えた時代。経営の手腕や理念についてはさておいても、すでに三洋電機は創業一族である井植家の「公私混同」により蝕まれていた。

《無理な利益計上や不良在庫の山も大問題だったが、野中が愕然としたのは三洋電機と井植家の講師混同ぶりだった。どこまでが会社のカネで、どこからが井植家のカネなのか。よくわからないほど渾然一体となっていた。》(p.100)

パナソニックに買収された後のエピソードにも、失笑してしまうものがある。"Let' get together at Panasonic"という歌詞を含むパナソニックの社歌を歌えなかった元三洋の社員がいたという。

しかし、三洋電機のバッテリー部門を首尾良く手に入れたはずのパナソニックも、いまだに経営面で苦戦しているのも皮肉な話である。

[目次]
第一章 再会 井植敏は『ゼロ』を読んでいた
第二章 決断 中村邦夫はなぜ動いたのか
第三章 抵抗 野中ともよは「地球を守る」と言い放った
第四章 一歩 「ニーハオ」から始めよう――ハイアールに買われた人々
第五章 覚醒 こうやって黒字にするのか――京セラに買われた人々
第六章 意地 最後の1個まで売り切ってやる!――校長に転身したマーケター
第七章 謀略 私はこれで会社を辞めました――セクハラ疑惑をかけられた営業幹部
第八章 贖罪 「首切り」が私の仕事だった…――高額ヘッドハントを断った人事部長
第九章 自由 淡路島からもう一度――テスラを駆る電池技術者
第十章 転生 「離職者再生工場」の可能性――ベビーバギーを作る生産技術者
エピローグ ダウンサイジング・オブ・ジャパン


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