2014.09.18

▽『偽悪者』――トリックスターたちの転機

上杉隆『偽悪者~トリックスターが日本を変える~』(扶桑社)

本書は、元ジャーナリスト(?)の上杉隆が、『週刊SPA』に連載したインタビューに加筆修正したものである。トリックスターとしての12人の「偽悪者」たちの、生い立ちや人生の転機などをを紹介したものである。

取り上げられた人々の幾人かの転機を紹介すると、

湯浅誠
《学部生の4年間は、ボランティアに明け暮れた。湯浅には障害のある兄がおり、ボランティアが自宅に出入りしていた。幼い湯浅は大学生になったら「恩返ししよう」と決めていたという。大学院に進んだ頃には、野宿者の支援を行うようになったが、支援活動に出掛けた渋谷でこの街に大勢のホームレスがいることを初めて知る。》(p.93)

竹田恒泰
《師事したのは、物理学者の藤田祐幸。スリーマイル島原発事故をきっかけに研究者としての成功に背を向け、立身出世をなげうち、市民とともに生きる在野の科学者として放射能の影響を世に訴え続けてきた人物だ。藤田と出会った竹田は、専門知識を修めるだけでなく、街に飛び出してフィールドワークを重ね、反原発の考えを一層強くしていった。》(p.130)

猪子寿之
《『新・電子立国』が放送された1995年、大学進学を控えた高校3年生の猪子はこれを観てショックを受ける。「このままでは日本の経済は衰退する一方だ……」。東京大学に入学したものの、「デジタル領域が全産業の中心になっていく」のなら、オールドエコノミーに属する大企業に「逆玉の輿」で潜り込んでも、もはや意味がなかった。大学を卒業した2001年3月、猪子は起業の道を選んだ。》(p.184)

[目次]
川上量生
(株式会社ドワンゴ代表取締役会長、スタジオジブリ・プロデューサー“見習い”)
「ネットの未来」とか「Web2・0」とか、偉そうに吹聴するIT業界の人が本当にムカついて……。
徹底的にバカにしてやろうと思った。

坂口恭平
(「新政府総理大臣」、建築家)
小学校のとき、すでに多数決では物事はうまくいかないというシステムの限界と戦っていました。

冨永愛
(モデル、WFP国連世界食糧計画・オフィシャルサポーター、国際協力NGOジョイセフ・アンバサダー)
日本ではアートとジャーナリズムが交わらないよね。

加藤嘉一
(国際コラムニスト、世界経済フォーラムGSC(グローバルシェイパーコミュニティ)メンバー)
無責任に我こそが愛国者と思い込んでいる者を僕は“愛国奴”と呼びます。

湯浅誠
(活動家、NPO法人反貧困ネットワーク事務局長)
「アクティビスト」のほうが当たりがいいのはわかるけど、敢えて「活動家」を名乗っているんです。

細野豪志
(民主党衆議院議員、元原発担当相)
大臣になってとか、総理になってとか……3・11以降、関心がなくなった。
政治家として使い捨てにされてもいいから、今できることをやる。

竹田恒泰
(作家、憲法学者、旧皇族)
私にとっては、左翼よりむしろ“エセ保守”のほうが敵。

ミサオ・レッドウルフ
(社会運動家、イラストレーター、反原発団体「NO NUKES MORE HEARTS」主宰)
当時行った野田首相との面会は、交渉決裂を演出したパフォーマンスでした。

津田大介
(メディア・アクティビスト、ジャーナリスト、インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事)
政治的に言いたいことはあまりない。ただ、子供の頃から政治的な環境と無縁ではなかった。

猪子寿之
(ウルトラテクノロジスト集団・チームラボ代表)
日本のように軍事力も資源もない国では、テクノロジーと文化が競争力の源泉になる。

朝比奈一郎
(青山社中株式会社筆頭代表)
日本の政党に何が足りないのかといえば、政策や人材をつくるシステムに尽きる。

乙武洋匡
(作家、東京都教育委員)
情報が溢れる今、普通の言い方では届かない。
敢て過激な言い方をして、ようやく人が振り向いてくれる。


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